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第1回 令和2年の改正税法 中小法人の交際費課税の特例の延長

連載記事 2021.01.15

「令和2年9月8日経済レポート2800号」に掲載されました。

   

①交際費に対する法人税の取扱い
交際費等は基本的には損金にはなりません。これを「交際費等の損金不算入制度」といいます。
特例として、中小法人(資本金の額等が1億円以下の法人)については「定額控除限度額 (800万円)」と「飲食のための支出の50%」を選択適用して、多い方を損金に算入することができ、それを超える金額は 課税の対象になります。大法人(資本金の額等が1億円超の法人)については、飲食のための支出の50%まで交際費支出のみ損金算入されます。

 ②改正の内容
交際費等の課税の特例は、租税特別措置法で定められ、2年ごとの時限立法となっています。
この特例の適用期限が令和4年3月31日までの間に開始する事業年度に2年間延長されました。
また、資本金の額等が100億円超の大法人は接待飲食費の損金算入の適用がなくなりました。

③交際費から除かれる費用
支出した費用が交際費に含まれると損金算入の限度計算の対象になります。限度額を超えた額は課税対象になります。
そこで日常の経理処理で交際費等から除かれる支出は、他の勘定科目で仕訳処理することが賢明です(措置法61の4)。
次の費用は交際費等としないことが認められています。
(1)専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用(→福利厚生費)。
(2)飲食その他、これに類する行為(飲食費)の費用で、その支出する全額を参加者の数で割って計算した金額が5000円以下である費用(→飲食費)(施行規則21の18の4)。
(3)その他の費用
ア、カレンダー、手帳、その他 これらに類する物品を贈与するために通常要する費用(→広告宣伝費)。
イ、会議に関連して、茶菓、弁当その他 これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用(→会議費)。
ウ、出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他 記事の収集のために、又は放送のために取材に通常要する費用(→取材費)。
(税理士 黒木貞彦)

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