ブログ

第4回 令和2年の改正税法 所有者不明土地への固定資産税の課税

連載記事 2021.01.15

「令和2年12月8日経済レポート2812号」に掲載されました。

   

これは、固定資産税に関する改正税法です。

①創設の背景            
登記簿などを参照しても所有者が判明しない、判明しても所有者に連絡がつかない「所有者不明土地」について、地方自治体では「現に所有している者」(通常は相続人)の把握に多大な時間と労力を要しています。
また、その土地の使用者がいても登記されておらず、固定資産税を適正に課税できない問題が生じています。
そこで、土地の現所有者に氏名や住所などを申告させる制度を設けることと、使用者を所有者とみなして固定資産税を課す制度を拡大する改正が行われました。

 ②改正の内容
1)現に所有している者の申告の制度化
市町村長は、その市町村内の土地または家屋について、登記簿に所有者として登記等がされている個人が死亡している場合、市町村の条例で定めるところにより、その土地・家屋を現に所有している「現所有者」に氏名、住所その他、固定資産税の賦課徴収に必要な事項を申告させることができるようになりました。
現所有者であることを知った日の翌日から3ヵ月を経過した日以後の日までに申告する必要があります。虚偽の申告等には、固定資産税における他の申告制度と同様の罰則が適用されます。
2)使用者を所有者とみなす制度の拡大
従来から、震災等によって土地の所有者が不明な場合には、その使用者を所有者とみなして課税できる規定がありますが、適用は災害の場合に限定されています。
そのため改正により、市町村が、一定の調査を尽くしてもなお固定資産の所有者が一人も明らかとならない場合には、その使用者を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録し、その者に固定資産税を課すことができるようになりました。

 ③適用時期
②の(1)の改正は、令和2年4月1日以後の条例の施行の日以後に現所有者であることを知った者に適用されます。
②の(2)の改正は、令和3年以後の年度分の固定資産税に適用されます。
(税理士 黒木貞彦)

 

カテゴリー
最近の投稿