第1回 令和3年の税制改正大綱を読む 固定資産税・土地上昇の据置措置
連載記事 2021.11.22
「令和3年2月9日経済レポート2819号」に掲載されました。
①税制改正大綱が決まる
2020年12月10日に 自民、公明両党が21(令和3)年度の税制改正大綱を、まとめました。
菅首相が看板政策に掲げるデジタル化や「脱炭素化」に取組む企業を減税で後押しするほか、消費税増税対策で導入した負担軽減策を軒並みに延長しました。固定資産税は地価上昇に伴う土地の評価額を据え置き、住宅ローン減税やエコカー減税の期間も延ばしました。新型コロナウィルスの感染拡大が経済に深刻な影を落とす中、暮らしの負担増を回避しながら需要を喚起したい狙いと考えられます。
②改正税法が確定する日程
今回の連載から「令和3年度の税制改正大綱を読む」と題して、6回に亘り解説して参ります。
例年この大綱をベースとして、国会で審議され、3月末までに改正税法が可決されます。そのため、現在時点では、詳細が決まっておりませんので、お含みおき下さい。
改正税法が3月末までに可決されても、詳細な取決めの政省令が整うまでに数カ月を要しますから、おおむね8月頃に改正税法が確定します。
③固定資産税の改正
第1回は「固定資産税・土地上昇の据置措置」を取上げます。
固定資産税は土地や家屋などに課税される市町村税です。土地の価格は変動することから、3年に1度、評価を見直すことになっており、令和3年度が見直しの年になっています。新たな課税額の基準は令和2年1月時点の「公示地価」です。令和2年1月は新型コロナの発生前であったため、地価は上昇傾向にありました。そのため、経済団体などが税負担の軽減を求めていました。
今年度の改正は、上の図解のとおり、地価が上昇しても令和3年度は税額を上げず、令和2年度と同額を課税することになりました。一方地価が下落した場合には、税額は引き下げることになりました。
商業地や住宅地の全てが減税の対象になります。会社など、広い土地を所有する場合には、負担の軽減になりますが、個人の場合には、家計の負担軽減は数百円足らずと見込まれます。
(税理士 黒木貞彦)
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